自立生活センターの活動を広げるきっかけに 「インディペンデントリビング」参議院で試写会
障害者も健常者もすべての人が生きやすい社会を-。障害者を施設に閉じ込めるのではなく、自立した生活を促す自立生活センターの活動を取り上げたドキュメンタリー映画「インディペンデントリビング」(田中悠輝監督)の東京公開を前に2月20日、東京・永田町の参議院議員会館で院内試写会が行われ、国会議員有志や一般応募者ら約150人が参加。センターの支援を受けて自立生活を希望する人たちの生き生きとした姿を目に焼きつけた。
この作品は、大阪にある3か所の自立生活センターを舞台に、障害当事者のスタッフやヘルパー、支援を受ける障害者らさまざまな人の生き方を通して、自立生活の実態を描いている。自らも介助ヘルパーの経験を持つ田中監督が、3年の月日を費やして完成。大阪では1月から先行上映されており、東京では3月14日から渋谷のユーロスペースで公開される。
この日の試写会は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)で車いす生活を送る参議院議員、舩後靖彦さんの協力で実現。大阪人らしい本音のやりとりなどユーモラスな場面も多く、客席からは時に笑い声も沸き起こった。
上映後は舩後議員や関係者らによるトークイベントが行われ、障害者をめぐる厳しい現実が報告されるとともに、この映画の重要性を指摘する声が相次いだ。舩後議員は、映画に登場する「自立生活夢宙センター」代表の平下耕三さんを「大いなる知性と深い愛と意志の力を感じた」と絶賛。映画について「障害があってもその人がその人らしく生きることの大切さを学ばせてくれる作品だと思います」と強調する。
この言葉を受けて、「むちゃくちゃ褒めてくれてありがとうございます」と照れ笑いを浮かべる平下さんは「センターを立ち上げて18年になるが、やっぱおもろいんですよ。当事者も家族も仲間も支援者も、それぞれの人生観が詰まった居場所になっている。この映画は、できるだけこの業界以外の人たちに見てもらいたい。老若男女の人たちに見てもらって、何かわれわれの入り口に立ってもらえたらなと思っています」と語る。
この映画が初の作品になる田中監督は「この運動は価値のあることだと思うが、まだまだ一般化されていない。映画を通してどんどん広げていけたら」とアピールしていた。
上映後のトークイベントで映画のアピールをする田中悠輝監督(左端)=2月20日、東京都千代田区の参議院議員会館(藤井克郎撮影)
イベント後には一般参加者も交えて記念撮影が行われた=2月20日、東京都千代田区の参議院議員会館(藤井克郎撮影)
ドキュメンタリー映画「インディペンデントリビング」から © ぶんぶんフィルムズ