映画の多様性を守ろう!
全国のミニシアターに愛の手を! 新型コロナウイルスの感染拡大で各地の小規模映画館、いわゆるミニシアターが軒並み経営の危機を迎えている中、映画監督や俳優、映画プロデューサーらが支援に乗り出している。4月13日には「ミニシアター・エイド基金」というプロジェクトが発足。クラウドファンディングのサイト「Motion Gallery」で広く寄付を募り、閉館に追い込まれないよう各地のミニシアターを支えていく活動が始まった。
この基金は、「淵に立つ」などの深田晃司監督、「ハッピーアワー」などの濱口竜介監督が発起人として設立。クラウドファンディングによって一般からの寄付を集め、全国のミニシアターを支えていく。すでに50館を超えるミニシアターから参加希望の声が届いているという。
発起人の深田監督は、基金設立に当たってのステートメントの中で「日本を訪れた世界の映画人が等しく感嘆と賞賛の声を挙げるのがミニシアター文化の存在」だと強調。「撮影所システムの崩壊後に広がったミニシアターの存在によって、私たちは娯楽大作だけではなく、さまざまな国、さまざまな時代の映画を鑑賞することがかないました」と、ミニシアターから多大な恩恵を受けてきたことに感謝を込める。
そのミニシアター文化が危機にあるということは、映画の多様性の危機であり、それを守ることは民主主義を守ることにつながるのだと深田監督は指摘する。
「今回のコロナウイルスのような有事に真っ先に存続の危機に立たされるのは、大手の資本のバックアップもなく、時に家内工業のような規模で営まれる多くのミニシアターです。平時においても、日本は諸外国と比べ映画館にはほとんど文化予算が下りることはおりません。本来なら、こういったときこそ国が支援に乗り出すべきだと思いますし、私たちは文化芸術の公的価値に見合った支援を今後も要求し続けなくてはなりませんが、今はそれを待っている時間もありません。ぜひ、映画の多様な文化を絶やさないためにも、ミニシアターの支援にご協力ください」と呼びかけている。
濱口監督も「私はミニシアターの存在によって、映画ファンに、そして映画監督にしてもらった、という思いがあります。その恩返しのために、今回の基金の発起人として名を連ねました。その誇るべき文化をなくすことは決定的損失です。今、動かなくてはなりません。同じ思いを持つ映画ファンのみなさんの参加と協力をお待ちしています」と訴える。
ミニシアター支援の動きとしては、両監督をはじめ、多くの映画人、俳優らが呼びかけ人となって日本政府による緊急支援を訴える「SAVE the CINEMA」がすでにスタート。約4万5000人の賛同署名が集まっている。ミニシアター・エイド基金はこの動きと連携して進めていくという。
クラウドファンディングが開始される4月13日の午後4時からは、ライブストリーミングチャンネルのDOMMUNEで深田、濱口両監督も出席して記者会見も行われる。クラウドファンディングのURLは、https://motion-gallery.net/projects/minitheateraid
深田晃司監督
濱口竜介監督