どんな色にも染まっていない無垢な映画館

 カルチャーに敏感な人たちの欲求に応える劇場に-。建て替え中だった渋谷PARCO(東京都渋谷区)の8階に11月22日、新しい映画館「WHITE CINE QUINTO(ホワイト シネクイント)」がオープンする。19日には報道陣に向けた内覧会が開かれ、真っ白い壁の向こうに広がる深紅の夢の空間がお披露目された。

 もともとはPARCO part3の8階にシネクイントがあり、エッジの効いた映画で多くのファンが訪れていたが、建て替えのために2016年、いったん休館。その後、2018年に閉館したシネパレス渋谷の跡地に、シネクイントとして2スクリーン体制で営業していた。

 22日に開館するWHITE CINE QUINTOは、スクリーン数は1つ、座席数も108席と、シネクイントの2館よりも小ぢんまりとしているが、コトブキ社製の落ち着いた赤い色のシートをゆったりと配し、前後左右を気にせずに作品に集中できるような配慮がなされている。スクリーンサイズも5.9メートル×2.5メートルと、この広さの劇場にしては大振りで、7.1chサラウンド対応のスピーカーとともに迫力ある映像と音声が楽しめるようになっている。

 同じフロアには、458席のPARCO劇場に、糸井重里が主宰する「ほぼ日刊イトイ新聞」のイベントスペース「ほぼ日曜日」と、カルチャーの拠点が集中。WHITE CINE QUINTOでの上映作品も、芸術家の草間彌生の人と作品に迫った米国のドキュメンタリー「草間彌生∞INFINITY」(ヘザー・レンズ監督)と、ファッションデザイナー、三宅一生のショーの模様をとらえた「PLAYGROUNDS」(三宅デザイン事務所企画)で幕を開けるなど、カルチャーに特化した個性的なラインアップが並ぶ。

 パルコのエンタテインメント事業部で映画を担当する柳井望さんは「渋谷PARCO自体、どんどん形を変えて進化していく。その中に入っている映画館として、どんな色もついていない無垢なものというイメージで、ホワイト(白)と名付けました。カルチャーが好きな人をターゲットにしながらも、PARCOにお買い物にきたお客さんを取り込んで、より広がりを持たせていきたい。PARCOのお客さんのわくわく感をカルチャーで表現していきたいなと考えています」と期待を込めていた。(藤井克郎)

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