全国コミュニティシネマ会議2020開催

コロナ禍に負けず連携を!

 危機を好機ととらえて、多様な価値観を発信し続ける―。ミニシアターを中心とした映画上映者の団体、コミュニティシネマセンターが主催する「全国コミュニティシネマ会議2020」が12月16日、東京・渋谷のユーロライブで開かれた。本来なら9月に京都で行われる予定だったが、新型コロナウイルスの影響で変更を余儀なくされ、この時期に東京で1日だけの開催となった。議題も、コロナ禍の中での各映画館、上映者の現状報告と今後の展望が中心だったが、ディスカッションに参加した映画人からは全国の上映者への力強い連携のエールが寄せられた。(藤井克郎)

 この会議は1996年から開催されているが、今年は4月の非常事態宣言で全国の映画館が休館。再開後もソーシャルディスタンスを保って座席制限を設けるなど、苦しい状況が続き、9月に京都で予定されていた会議は断念せざるを得なかった。12月16日に会場を東京に変更して実施したものの、感染予防を徹底して入場数は大幅に制限され、多くの人がオンラインでの参加という形になった。

 前半は、北海道、山形、群馬、東京、神奈川、長野、富山、石川、愛知、兵庫、広島、香川、大分、熊本、沖縄と、各地のミニシアターや上映者が現状を報告。リモートによる参加も多く、コロナの感染拡大以降、どのような状況になって、どういう方策を打ち出したかがリレー形式で発表された。

 と同時に、アメリカ、フランス、韓国のアートハウスの現状も伝えられた。ニューヨークやロサンゼルスといったアメリカの大都市やフランスでは今もすべての映画館が閉鎖されており、オンラインによるバーチャルシネマに活路を見いだしている状況だという。また、韓国からは全国芸術映画館協会のチェ・ナギョン代表らがリモートで参加。政府の外郭団体である韓国映画振興委員会(KOFIC)からの支援金がありがたかったとし、新作がなかなか入ってこない中で過去作品を上映する企画にも助成が出たのは助かったという報告があった。

 後半はディスカッションで、ミニシアター存続のために立ち上がった「SAVE the CINEMAプロジェクト」の諏訪敦彦監督、「ミニシアター・エイド基金」の深田晃司監督、「ミニシアターパーク」の女優、渡辺真起子、「仮設の映画館」を始めた配給会社「東風」の渡辺祐一さん、「Help!The映画配給会社」を提唱した配給会社「ミモザフィルムズ」の村田敦子さんの5人が登壇。それぞれのミニシアターへの思いと今後の展望について熱く語り合った。

 諏訪監督らが呼びかけ人となって4月6日に発足した「SAVE the CINEMA」では、ミニシアターへの公的援助を求めて広く署名を募り、7月15日までに9万人以上から集まった。これを携えて文化庁や内閣府などに直訴。国会でも取り上げられるなど、大きなムーブメントにつながった。諏訪監督は「小さくても声を上げ続けることは無意味じゃないなと実感した」と言いつつも、「どうしても国は何かをする人にしか支援しない。何もできない人には支援がないというのが壁になっている。今後は恒常的に守られるべき制度を作っていく必要がある」と力説した。

 また、深田監督が濱口竜介監督とともに発起人を務めた「ミニシアター・エイド基金」は、およそ1か月で3億3000万円を超える支援金を集め、各ミニシアターに分配した。深田監督は「基金の活動を通して明らかになったのは、ミニシアター文化が失われてほしくないという人がこれだけたくさんいるということ」と成果を認める一方、「コロナ以前からミニシアターの入場者はずっと減り続けている。多様な文化をどう守るかということは普段から議論しておくべきことで、災害が起きてからアワアワしても間に合わない」と話す。

「ミニシアター・エイド基金」のクラウドファンディングのほか、「仮設の映画館」や「Help!The映画配給会社」の活動はひとまず終了したが、コロナが落ち着いたとしてもミニシアターをめぐる状況が好転するわけではない。図らずもコロナ禍で芽生えた映画館同士の連携や配給会社、映画関係者との絆をより深め、さらに強固なものにすべきだという認識はみんなが共有している。

 俳優としてミニシアターを支援していく場の「ミニシアターパーク」を井浦新や斎藤工らと提唱した渡辺真起子は、今後もこの活動を持続していくと明言。「私たち俳優が映画館に注意を払っているということをきちんと知ってもらって、何かこんなことをやってみたいと思ったら、ぜひお声がけをしてほしい。私みたいな変わり種の俳優を多様性の中で見つけていただき、長く続けていられることにとても感謝している。自分の存在の多様性を確かめられる日本の映画館には、どうか頑張っていただきたい」と、全国の映画上映者に力強くエールを送っていた。

韓国の全国芸術映画館協会のチェ・ナギョン代表らは、リモートで韓国の実情を報告した=2020年12月16日、東京都渋谷区のユーロライブ(藤井克郎撮影)

後半のディスカッションでは、女優の渡辺真起子(左から3人目)ら映画人のミニシアターへの熱い思いがあふれ出た=2020年12月16日、東京都渋谷区のユーロライブ(藤井克郎撮影)