二子玉川にいながら世界旅行を―。子どもだけでなく大人も楽しめる映画が世界中から集まる「キネコ国際映画祭」が、今年もiTSCOM STUDIO&HALL二子玉川ライズなどを会場に始まった。2019年11月1日にはオープニングセレモニーが開かれ、プログラミング・ディレクターを務めるタレントの中山秀征は「世界各国の文化や食にはいろんな形がある。日本だけがすべてではないということを子どもたちに理解してもらうのにとてもふさわしい映画祭ではないか」とアピールしていた。

 27回目を迎える今年は、日本をはじめ、アジア、ヨーロッパ、アフリカ、北南米と、世界中24か国から子どもが楽しめる作品約50本が集まった。この映画祭の特徴として、声優が生で吹き替える「ライブ・シネマ」での上映があるが、今年もジェネラル・ディレクターを務める女優、戸田恵子らが会場を訪れ、その場で吹き替えを行う作品もある。この日のセレモニーでも、中山やスペシャル・サポーターを務める俳優の高橋克典、バイオリニストの高嶋ちさ子がライブ・シネマに挑戦したが、無難にこなした初参加の高嶋は「生には強いんです」と笑顔をのぞかせる。

 映画上映以外にも、二子玉川公園での熱気球飛行やキャンプ体験、アウトドアイベントなど、親子で楽しめる催しものがいっぱい用意されている。この辺りは、10月の台風19号による多摩川の氾濫で浸水被害が出たところもあるが、「この映画祭から少しでも元気を与えることができれば」と中山は言う。

「日本各地で災害が起き、大変な日常を送っている人も多いと思う。この映画祭も、いろんな国からいろんな作品が来ていて、例えば戦地で生活をしている子どもたちが、どんな夢を見て、どんな日常を送っているのか、そんなことが描かれる作品もある。あきらめないぞ、またやり直すぞ、といった気持ちが込められている作品もあるし、それぞれの幸せとは何だろうと考えるきっかけにもなるのではないでしょうか」

3回目の参加となるスペシャル・サポーターの高橋は「世界中の文化やにおい、空気を感じていただける時間になると思う。二子玉川にいながら世界旅行をどうぞ楽しんでください」と呼びかけていた。

キネコ国際映画祭は2019年11月5日までの開催。(藤井克郎)

プログラミング・ディレクターの中山秀征(後列左から2人目)らを囲んでキネコ審査員が勢ぞろい=11月1日、東京都世田谷区のiTSCOM STUDIO&HALL二子玉川ライズ(藤井克郎撮影)

ライブ・シネマに挑戦する中山秀征、高嶋ちさ子、高橋克典(左から)ら=11月1日、東京都世田谷区のiTSCOM STUDIO&HALL二子玉川ライズ(藤井克郎撮影)

オープニング・セレモニー―には、出品映画に出演している子どもたちもアメリカ、コロンビア、韓国から駆けつけた=11月1日、東京都世田谷区のiTSCOM STUDIO&HALL二子玉川ライズ(藤井克郎撮影)

フェスティバル・ディレクターの田平美津夫さん(左)=11月1日、東京都世田谷区のiTSCOM STUDIO&HALL二子玉川ライズ(藤井克郎撮影)